【第3回】鉄道とせいぎょばん~南海高野線九度山駅~

公開記事

全国の制御盤ファンのみなさん、こんにちは。「突撃!隣の制御盤」略して「となせい」、第三回目の取材です!

登場人物 ※はじめての方ははじめにをご覧ください!
おしん(西坂夏代)
ネットワークエンジニアから制御盤屋に転職したての制御盤ビギナー。

南海電鉄の高野線は九度山駅にて、現役引退して展示されている制御装置があると聞きつけ、大阪から取材に向かいました。

ちなみに私おしんは、こっそり電車好きです。廃線や未成線(途中まで作ったが開通しなかった線)の跡を発見しては想いを馳せるのを楽しんでいます。住まいである大阪市内でも、大阪環状線から昔伸びていた支線(大阪臨港線跡)があったり、今回向かった九度山駅から少し東にずれた五條市には、五新線という未成線があったりして、跡を見つけてはワクワクしています。

九度山は真田丸ゆかりの地

今回取材で訪れた和歌山県九度山町は、真田幸村が滞在したことのある地だそうです。2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がったこともあり、今も真田丸一色になっています。(歴史は苦手なのであまり語らないでおきます)。

この真田丸ブームや、高野山麓エリアの集客を狙って、九度山駅・高野下駅の駅舎改修工事が進められました。

2019年11月にリニューアルされた九度山駅舎には、おにぎりスタンド「くどがオープンし、併設のイートインスペースの内装として、引退した車両のパーツが使われたり、 1957~61年頃に難波駅に掲示されていたレトロな沿線内図があったり、今回の記事の主役である制御装置、CTC(列車遠隔制御装置)の連動盤が展示されています。

かつてあった大阪球場も描かれています

今日の制御盤はなんでしょう?

さっそくお目当ての制御盤を見にいきたいと思います。

車両の扉のついたイートインスペースの一番奥へ行くと…

じゃーーーん!

一番奥にひっっっそりとありました。2019年3月まで運輸指令で 実際に使われていた、CTC(列車遠隔制御装置)の連動盤です。

少し悲しいことに、タイトルや説明パネルあど、一切ありませんでした。。

おそらく「この制御装置はせっかくだから破棄せずに展示しよう!」というアイデアは通ったものの、展示方法に困って、とりあえず置くだけになってしまったのではないかと。

制御装置には、紀伊清水駅から、極楽橋までの路線図のようなマップと様々なボタンが描かれています。

駅ごとに状況を把握するためのランプが付いています。
地震のランプ!この盤が動いていた間、何回光ったのでしょうか。

何をする装置?

CTC( Centralized Traffic Control:列車遠隔制御装置) とは、列車の運行を制御するための装置です。

列車を衝突などなく安全に運行させるためには、どの列車がどこにいるのか?を正確に把握する必要があります。通信技術などが発達する前の時代は、そのためのやり取りを、電話で行っていました。運行数が多い路線では、ものすごい数の電話のやりとりになってしまいます。

このやりとりの手間を減らすことと、より正確に運行状況を把握するため、CTCが導入されました。列車の位置を検知するセンサや、操作したい信号機、転てつ器(ポイント)などを中央のシステムとすべて繋ぐことで、中央の基地にいる人が一括して指示できるようになったのです。

今回はこのCTCの連動盤なので、メインのCTC装置から、一部の区間を切り出しているものと思われます。運行状況の把握にも役立ちますし、万が一、中央の基地との通信に問題が発生していても、この連動盤と通信ができていれば、部分的な運行制御が可能なのかもしれません。

最近は、このCTCに加えて、PRC(Programmed Route Control:自動進路制御装置)といって、信号などへの指示もコンピュータで制御することで、自動化するような仕組みも増えています。

もう少しいろいろ見てみます

この面が、実際に進路制御を行うボタンだと思われます。

同じシステムを2つ作って、たぶん奇数月と偶数月で、使うシステムを切り替えているんですね。

よくあるので、メインシステムとサブシステムを用意したものの、緊急時に初めてサブシステムを使ったら実は動かなかった…なんてケース。こうして両系を交互に使うのは良い運用方法だと思います。

この黒い丸は信号機でしょうか?必要に応じて、使わないときはマグネットで隠せるみたいです。

引継ぎ簿の保存期間は1ヶ月だそうです。皆さん、テストに出ますからね!

この装置を製作したのは京三製作所さん。今日でも、鉄道や交通信号機などのインフラシステムを作っている会社です。

おわりに

通勤ラッシュの時間でも安全に目的地まで列車に乗っていられるのは、CTCのような制御システムと、それをメンテナンスし操作してくださる駅員さんのおかげです。

制御盤を作る目線で見ると、この中央基地に置かれたCTC装置と、線路上の各装置をつなぐケーブルの長さを想像するだけでゾッとしました。最近になってようやく無線式のシステムも出てきたようですが、多くは有線のようです。線路の横を並走しているパイプの中に、きっとこの制御のためのケーブルも収納されていると思います。

列車の運行を管理する方法については各社・各路線でさまざまな方法があり奥が深いので、興味のある方は調べてみてください。私も「閉そく」について理解しようといろいろなサイトを読みましたが、途中で頭から煙が出てきたのでほどほどにしておきました(汗)。

素敵な装置を公開・展示してくださった南海電鉄さん、ありがとうございます!

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さいごに、九度山駅のアクセス方法などを紹介しておきます!

南海電鉄 高野線 九度山駅(NK80)

〒648-0101 和歌山県伊都郡九度山町大字九度山
・南海なんば駅から電車で1時間10~20分
・車でお越しの場合、駅前は駐車場が2-3台しかないため、九度山町役場に停めて徒歩をオススメします(九度山町HPの交通アクセス案内より)

おにぎりスタンド「くど」

HP: https://kudo-kudoyama.weebly.com/
九度山駅構内。切符なしでも構内へ出入りできるようになっています。
一度の販売量が限られており、売り切れるとご飯が炊けるまでしばらく待つことになるので、のんびりお越しください。

あとがき

お昼前に九度山駅に着いたのですが、おにぎりはあいにく売り切れで、炊き上がるまで1時間待ちでした。その間にゆっくりと制御盤を堪能できたのでよかったです。

かまどで炊いたご飯は粒がとてもしっかりしてました。価格はコンビニで買うちょっと高いおにぎりと変わらないので、おにぎり食べるならココに来たほうがいいです!お茶のボトルも、ちょっとレトロな感じですごくかわいい。

2,3歳の息子を乗せて、長時間の電車はなかなかしんどいので今回は車で来ましたが、南海の特別列車「天空」に乗ってまたのんびり来てみたいなと思いました。

制御盤を見せてくださる方を募集しています

ウチの制御盤、見に来てもいいよ!このサイトで紹介してもいいよ!という会社さん等を募集しています!詳しくはこちら

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